呉人と越人と相悪むも、その舟を同じくして済り、風に遇うに当たりては、その相救うや左右の手の如し
(ごじんとえつじんとあいにくむも、そのふねをおなじくしてわたり、かぜにあうにあたりては、そのあいすくうやさゆうのてのごとし)
 敵同士の呉と越の人間であっても、同じ船に乗っている時に嵐にあえば、まるで左右の手が働くようにお互いに助け合うことだろう、ということ。

 有名な「呉越同舟」の語源です。
 「命の危険」という前では、敵国同士という利害関係は小さなものとなり、まるで仲間であったかのように協力する。
 組織の運営においても、大義の前には個人の利害など気にならなくなるように指導していく必要がある、と述べています。

 これは国家の政治場面でもよく使われる手法です。
 支持率の低下や選挙が近づくと、民族主義をあおり戦争を起こして強い政府を印象付け、支持率の回復を行っている政府はかなりあります。
 その対象に日本がなることが最近は多く、ニュースに出ない日はないくらいです。

 逆にこれを応用するなら、組織の引き締めを図る最も簡単な方法は、関係している他の部署、組織を槍玉に挙げることです。
 実際、根拠のないやっかみや噂が元になり、何かあるとすぐに名前の出る部署というのは、どこの社会でも見られたような気がします。
 いわれのない非難をしている相手の状況をよく見ると、相互の連帯感や信頼感などが崩れかかっているところは多く、軌道に乗っている部署は人のことには興味もないところが多いようです。

「戻る」
inserted by FC2 system