始めは処女のごとくにして、敵人、戸を開き、後には脱兎のごとくして、敵、拒ぐに及ばず
(はじめはしょじょのごとくにして、てきじん、とをひらき、のちにはだっとのごとくして、てき、ふせぐにおよばず)
 処女のように振る舞っていれば敵は自ら戸を開く、その後には逃げるウサギのごとき勢いで攻めれば、敵はその勢いを止めることはできない、ということ。

 相手の油断の誘い方とつけいり方の説明です。
 徹底して大人しく、従順に振る舞えば敵は油断し、こちらに対する警戒感、敵意も緩んできます。
 その頃合を見て、掌を返したように勢いよく攻めたてれば、敵は緩んだ士気を取り戻せないままに、一気に崩れてしまうことを言っています。

 自民党をいろんな意味で変えた小泉総理。
 総理になった後こそ豪腕振りを発揮していますが、総理になるまでは「奇人」と呼ばれていた程度で、特に「強さ」の印象はなかったように思います。
 そんな小泉氏が自民党総裁となった後、抵抗勢力と呼ばれた、それまでの自民党幹部の何割かを結果的に追い出したことはニュースの通りです。
 残っている抵抗勢力と呼ばれた人たちにも、今やかつての勢いは見られません。
 抵抗勢力にしてみれば、気づいたときには力を持たせすぎた、ということかもしれません。

 「とりあえず人気のある小泉を総理に」「小泉などたいしたことはない」と油断させ、周囲に持ち上げさせたのが最初の段階。
 その後、反対派を表にひっぱり出して追い出した。
 相手の油断を誘って力を蓄え、勢いを得たら徹底的につぶしてしまう。
 孫子の兵法にもかなうやり方です。

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