善く戦うものは人を致して人に致されず
(よくたたかうものは、ひとをいたして、ひとにいたされず)
 戦上手の戦い方は、相手の作戦行動に乗らず、こちらの作戦行動に乗せる、ということ。

 相手の動きに臨機応変に対応することは大事だが、それは相手に振り回されるということではない。
 相手の出方にあわせるばかりでは、事態が自分の思い通りになることはなく、下手をすると策略にはまる結果にもなる。
 よい戦い方とは、主導権を握って相手を思うがままに扱うような戦い方である。

 これを聞いて思い出す人がいます。故ジャイアント馬場さんです。
 彼の言葉にこんなものがあります。細部は違うかも知れませんが、こんな内容の言葉でした。
 「リングに立ったら、真中に突っ立ってろ。真中で動かないレスラーとまわりをぐるぐるしているレスラー、見ているお客さんにはどっちが格上かすぐに分かる。」
 手を出してくる相手に、真ん中で突っ立っているのが払いのける姿は、観客には余裕と見えます。ところが、回りながら払いのけようとする姿は逃げているように観客からは見えます。
 突っ立ってるレスラーが手を挙げればそこに組み付く、突っ立ってるレスラーがリングの端に向かえばついて行く、先手を打つのは常に突っ立ってる方で、回っている方はただそれに従うのみとなります。
 突っ立ってるほうは自分の思った形に試合を進め、試合の主導権を握っています。試合の主導権を握れば、相手も思い通りにできるのです。

 こうなれば試合に勝つのも当然で、そうなることが分かっているからこそ、観客も突っ立っている方が格上と思う、という論理です。

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