兵は詐をもって立つ
(へいはさをもってたつ)
 戦における作戦の根本とはだますことにある、ということ。

 「兵は詭道なり」(始計篇)の繰り返しでもあり、「迂直の計」もその一つです。
 存亡を賭けた戦争の中では「騙し」という非道徳も認めるべきである、という考え方です。
 また同じ文の中では、同時に情報聴取の必要性が強調されています。
 これは正確な情報を得て臨機応変に動かないと、「策士、策におぼれる」という結果になるからだと理解しています。

 これは企業戦争を見ればよく分かるのではないでしょうか。
 「生き馬の目を抜く」といわれる、営業世界もあります。
 その中で、正直者の美徳を貫いたのでは成績は上がらないでしょう。
 犯罪者では困りますが、「騙しあい」への耐性はつける必要があるのかもしれません。

 アルバイトで某スポーツ・ショップの販売員をしていたとき。
 スキーについては、自分もやるので多少の知識はあったのですが、テニスやゴルフはほとんどやったこともなく、興味もありませんでした。
 それにも関わらず、店員なら詳しいだろうと思っているお客さんは、色々と聞いてきます。
 間違いなくお客さんのほうが詳しいのですが、先輩店員やパンフからの付け焼刃な知識で答えていました。
 しかしものすごく納得し、さらに感謝の言葉まで言って、買っていかれることが多くありました。

 やったこともない自分がさも知っているかのように答え、ベテランの域に達しているような人がそれに納得している。
 物売りって言うのも、詐を以って立つな〜と思ったものです。
 騙された方には申し訳ないと思いますが・・・

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