その鋭気を避けてその惰帰を撃つ
(そのえいきをさけて、そのだきをうつ)
 敵の志気が高いうちは戦を避け、敵の志気が下がったところを撃つ、ということ。

 戦いにおける心理的な側面に触れており、これが他の兵法書以上に孫子が現代で読まれている理由だと思います。
 人の気持ちが常に高みにあることはなく、下がる時間帯、環境というものがあります。
 そのような人の心の流れをつかみ、それを作戦行動に反映させるということ。また、敵の気持ちをそのようにコントロールすることも戦略であるということを言っています。

 我々も普段、無意識のうちにこのようなコントロールをしている、またはされていると思います。
 例えば、頼み事をする時。
 相手が他の用事で忙しく、いらいらしている時に持っていくことはなく、顔色をうかがいつつ頼みに行くことが多いと思います。
 逆に忙しいからこそ、小さな頼み事にはいちいち構わず、通すだろうと予想して持って行くこともあります。

 忙しさの内容、担当者、時間帯などによって、こちらへの心象も変わり、通り易さも変わります。
 こちらの要求に敵意むき出しになるような環境を避けることが、無難な請求法といえるかもしれません。

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