君命に受けざる所あり
(くんめいにうけざるところあり)
 君主からの命令であっても、従ってはならない場合がある、ということ。

 この言葉以外にも、いくつかの「せざる」場合が述べられています。
 例えば、通れても通っていけない道もある、敵の中にも攻めてはいけない敵がある、などの具合です。
 戦略全体で見た時に、目前の利益や命令を受けることが全体の利益につながっているのかどうかの見極めをうながしています。

 上から指示を出せるほど偉くもなく、下からついて行けばいいほどのキャリアでもない場合、この言葉が重く響きます。

 上司から理不尽な要求、命令が出されたとします。
 一番楽な方法は、「言われたからやる」「そのまま下に押し付ける」といったところだと思います。
 その結果として上司からもお褒めの言葉なりを頂ければ、その場は最上の選択したということになるでしょう。

 しかし、そのことによって全体の流れが乱れたり、そのことで迷惑を受けた被害者が多くいたりした場合、その命令の発動者、伝達者への信頼というものは間違いなく損なわれます。
 将来も見据えた戦略を立てる場合には、ただ言われたから従うことが得策かどうかは微妙なところです。

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