慮りなくして敵を易る者は、必ず人に擒にせらる
(おもんばかりなくしててきをあなどるものは、かならずひとにとりこにせらる)
 根拠も無いのに敵をなめてかかる者は、かならず相手にしてやられる、ということ。

 解説はあまり必要ないかもしれません。
 たいしたことの無い相手だとなめていると、痛い目にあうぞと言うことです。

 スポーツの世界ではよく見られることと思います。番狂わせ、というやつです。
 その裏には必ず、格上のおごりや余裕があると思われます。
 ボブ・サップのK−1デビューの相手をしたのは、当時のチャンピオン、アーネスト・ホーストという選手でした。
 プロレス出身、これがデビュー戦のサップに、ボクサー出身で経験も豊富なホーストが負けると思っていた人はほとんどいなかったと思います。
 私自身、漫画によく出てくる体の大きなやられ役のようなつもりでサップを見ており、押されながらも反撃してホーストが最後に笑うという、少年漫画のようなストーリーを思い浮かべながら、テレビを見ていました。
 実際、その通りに試合は進み、徐々に反撃を受けたサップの顔は苦痛にゆがみ始めました。
 しかし、その次の瞬間突然ラッシュが始まりKO勝利してしまったのです。
 まさに驚きの瞬間でした。経験も無い、実績も無いという挑戦者に足元をすくわれた感じです。
 なめていたと言うわけではないのでしょうが、王者の余裕がホースト選手にあり、それが敵を易る者にしたのかもしれません。

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