「AAC=拡大代替コミュニケーション」と訳されます。手段の選定では、評価を基にした手段をどうするかについて述べました。
このページでは、その評価の行い方についてまとめます。
四肢麻痺+発声困難でコミュニケーションの機会も方法も失った方に対するとき、私はアプローチの一歩目をこのようにしています。
ベッドサイドなどで、上から下に向かって、順番にこれらのことを行い、検討や必要な訓練などを行っていきます。AACの導入だから、と特別なことをしているわけではなく、多くのコミュニケーション障害者に対する考え方も基本的には同様です。
視線:透明文字盤につなげる
・話し手への注目、アイ・コンタクトが可能かどうかを確認する。
・手や物を提示して、対象への注目が可能かどうか、注視し続けることができるかどうかを確認する。
・手や物を動かし、追視が可能かどうか、視野の様子、眼球の可動域を確認する。
まばたき:Yes/Noなどの反応手段につなげる
・声かけしながらまばたきの見本を示し、模倣できるかどうかを確認する。
・声かけのみにて、まばたきができるかを確認する。
・まばたきが困難な場合、他の方法も試してみる(目を見開く、口を動かすなど)。
言葉の理解:失語症、認知症の有無を確認。言語的コミュニケ-ションの可否。
・簡単なYes/No質問(名前は○○ですか?)に対して、まばたきで答えられるかを確認する(Yesならまばたき1回、Noならまばたき2回など)。
・絵カードを数枚、見えるように提示し(両手に持つ、板に貼る)、読んだカードの方向を見られるか確認する。
運動:スイッチの使用につなげる
・顔面、舌、頚部の廻旋、上肢、下肢、手指などで動かせる場所がないかを確認する。
・動く場所が見つかったら、随意的に動かせるかどうか、不随意運動が伴わないかどうかを確認する。
文字の理解:失語症、文字理解の確認。文字による表出の可否。
・仮名単語の書かれたカードを数枚、見えるように提示し(両手に持つ、板に貼る)、こちらの言うカードの方向を見られるか確認する。
・透明文字盤を用意して、言われた文字を見られるか確認する。
文字単語の表出:失語症、文字表出の確認。透明文字盤、50音入力機器の可否。
・透明文字盤を用意して、言われた単語を仮名で作れるかどうかを確認する。
・言われた文章を作れるかどうかを確認する。