「AAC=拡大代替コミュニケーション」と訳されます。数多くの手段、機械の中から何を選ぶべきか。
オーダーを受けて初期評価の段階で確認することと、その中でつける手段の見通しについてまとめます。
評価の具体的な方法については、初期評価のページを参照ください。
実際の場面ではここに挙げた方法のいくつかを場面場面にあわせ、組み合わせて使うことになると思います。特にALSのような進行性疾患の場合、現在使える手段をそのまま継続させることは難しく、常に悪くなった状態を考えておく必要があります。
逆に言うと進行した時のために、今なんとか使える手段から一段階下げたものを手段として選ぶ場合もあるということです。
導入の前提:
・意識障害がなく、声かけに反応できる
・認知症などによる発動性の低下がない
・視力障害がない(半側無視なども見られない)
行ううえでの障害:
・不随意運動(視線の浮動性も含む)
・コミュニケーション意欲の低下
チェック表:
評価の際に「できなかった」ことを縦軸に、できないときに選べる手段を横軸の○で表します。
横軸から見るとき、各手段を導入する際には縦軸の×が付いている項目はクリアする必要があります。
△は、条件によっては可能という意味です。
(縦軸)
・視線
眼球運動について。覚醒の程度を見ると共に、追視の有無や視力の簡単なチェックも行います。AACの発信手段としては、「見る」という動作が重要になることが多く、できない場合には聞いた質問に答える「Yes/No」ぐらいしか思いつきません。
・視線の保持
見た後に1点をずっと見ていられるかどうか。特に透明文字盤では重要になります。
・スイッチ
OTさんのいる職場では、一緒に評価してもらうほうがいいと思います。現在はスイッチの種類も増えているので、瞬きや舌を出すのようなわずかな運動でも可能な場合があります。顔面、上肢、下肢、指、頚部の回旋など、とにかく随意的に動かせるポイントを探します。
・言葉の理解、表出
こちらの話を理解できるのか、言おうとしていることを言葉にできるのか、失語症などで障害されている場合には、言語だけに頼らない方法が求められます。
・文字の理解
文字盤などを使う前提は文字が理解できることになります。
(横軸)
・Yes/No
「瞬きを1回したらYes、2回したらNo」など、動く部分にYes/Noの役割りを持たせます。視線が動く人に対しては、左右に○×の札を出し、質問に対する答えを視線の向きで答えてもらいます。
・選言
指や視線が動く人に対しては、左右に2〜4枚程度の選択肢を提示し、質問に対する答えを指や視線の向きで答えてもらいます。上記の○×札を、選択肢に変えた物です。透明アクリル板に多くの選択肢を貼り付け、言葉の理解のチェックに使ったこともあります。
・メッセージ
透明文字盤の「メッセージボード」版です。詳しくは、文字盤のページをご覧ください。
・VOCA
Voice Of Communication Aidの略です。詳しくは、リンクの「お役立ち」をご覧ください。AACの中でも一番種類が多く、選定にも悩むところです。選択肢に写真やイラストをつけられるので、言葉の理解が難しい方でも使用可能であったり、選択肢のスキャンのスピードや方法などの調整が可能なものが多く、選択に幅があります。ただし、登録された言葉での限定されたコミュニケーションにしか使えません。
・文字盤
透明文字盤です。詳しくは、文字盤のページをご覧ください。
・50音入力
伝の心やぱそぱる、トーキングエイドなどの50音表をパソコン上などに表示して、ワープロ感覚で使っていくものです。自由な会話や拡張性がある反面、利用者に求められる能力も高くなり、疲労感を訴える方もいました。
上記表では、△が一つついてるだけです。使用していく為には、このページで述べているような事柄はすべてクリアーする必要があると思っています。
詳しくは、リンクの「お役立ち」をご覧ください。
(その他)
・△
VOCAや50音の△は、機械のスキャンにあわせて見られる程度の保持ができればOKということで△としました。